FT-991Aレビュー(1) APFを使う

FT-991A Use APF FT-991A

FT-991Aをほとんど使いこなせていない状況ですが、それでもCWに関する機能は少しずつ確認しています。

CWの運用では隣接した周波数で運用する局の影響を受けないよう、古い無線機ではCWフィルターを装着して通過帯域を制限したりしますが、近年の無線機はDSP(Digital Signal Processor)が搭載され、IF段で通過帯域をデジタル処理で制限できるようになっているものが多いです。
IFは中間周波数(Intermediate Frequency)の略ですね。
FT-991Aにもこれに相当する「WIDTH」(ワイズ)という機能が搭載されていて、WIDE設定で500Hz~3kHz,NARROW設定で50~500Hzといった設定が可能となっています。
私の場合は、CWの運用では通常500Hzに設定しています。

ところがFT-991Aには、同様に隣接した周波数で運用する局の影響を受けないよう、これとは別に「APF」という機能も搭載されています。

FT-991AのAPFは、CWモードで使う機能です。

APFは「Audio Peak Filter」の略で、簡単に言うと、AF(Audio Frequency)段で、通過する音声信号の周波数をデジタル処理で制限しようというものです。
(ここでいう音声信号とは聴こえてくるモールス信号のことです)

AF段なので音声信号の段階で処理します。
具体的には、音声信号の中心周波数(つまりCWのピッチ周波数のことですね)の前後のある一定の周波数以下および以上の音声信号をカットしますので、実際のCWの運用でのイメージだと、キャリア周波数から離れていて、高かったり低かったりする音声信号は、ある一定の周波数の幅でカットしてしまうという感じですね。
結果として、隣接した周波数で運用する局の影響を受けにくくなります。
カットする帯域幅は NARROW , MEDIUM , WIDE の3段階で調整でき、中心周波数もずらすことが可能です。

実はこれまでこのAPFを使ったことがなく、最近この機能を試してみました(^^;)。

APF。全然使っていなかったです。

APFをON(デフォルトはMEDIUM)にして実際にCWの信号を受信すると、隣接した信号がスパッと切れる感じです。いやちょっと切れすぎです・・・。
通常のCWの運用だと、意図的にCQ局が送信するキャリア周波数からずらしてコールしてくる局がありますが、CWフィルター(FT-991Aの場合はWIDTHの設定)で500Hzならばカットされないような信号も、APFだと全く聴こえなくなりました。WIDTHの設定で50~100Hz位の設定と同じくらいの感じです。
かなり狭いですので注意が必要ですね。
カットする帯域幅をNARROWにすると更に狭く・・・どうなってしまうのでしょうか。

ちょっと違和感があるのは、IF段でカットする場合と異なり、AF段でカットするのでシグナルメーターは触れたままで音声だけ聴こえなくなることですね。
これはもう回路の構成上、致し方ないことかと思います。

その他には、WIDTHではキャリア周波数から上下を均等幅でカットしますが(IFシフトでずらせるという突っ込みはさておき^^;)、APFでも先に書きましたよう中心周波数をピッチ周波数から上下へずらすことができるので、実質上はキャリア周波数からカットする上下の幅を、均等ではなく上または下へシフトすることが可能かと思います。(理屈上は)
そういった意味ではAPFは、いわゆるIFフィルターIFシフトの機能(FT-991AではWIDTHとSHIFTに相当)の併用と同じような芸当ができると思います。

ここまでよく切れる(帯域が狭い)と、コンテスト等でバンド内が混み合っている状況ではとても有効な機能かも知れませんが、主にCWのCQ局へのコールが中心の私の場合は、CWフィルター(WIDTH)での500Hz設定が一番しっくりくる感じです。
またコンテストならばともかく、通常のCW運用でAPFをONにしてしまうと、前述のように意図的にキャリア周波数からずらしてコールしてくる局が聴こえなくなってしまう可能性があります。
それが良い場合もありますが、注意が必要ですね。

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