昨日、「第13回 QRP Sprint コンテスト」に参加しました。
毎年行われているコンテストですが、私自身は2015年 , 2016年 , 2020年に参加という、わりと一貫性のない参加状況で、そして今回が4回目になります。
コンディションは良好!
このコンテストは、QRPでの参加が必須となりますが、2015年と2016年はともかく、2020年はコンディションが低迷していて、送信出力5Wでの参加でたったの3局という結果に終わっています。
特にHFでのQRPとなるとコンディションの良し悪しに大きく左右されますが、このところのコンディションの向上により、日中はF層も強力(イオノグラムによる)に発生していて、7MHzは日本全国へかなり良好な伝搬をしていますので、QRPでどこまで交信できるか興味深いところです。
何とも絶妙なタイミングですね。来るべき時が来た!という感じです。
送信出力は迷わず0.5W以下のQRPp
このコンテストでは、送信出力が「5W以下のQRP」または「0.5W以下のQRPp」のいずれかでの参加になりますが、ここは迷わず
0.5W以下のQRPp
での参加です。
アンテナは、既設の給電点が10mほどのフルサイズの逆Vワイヤーダイポールを使用し、送信出力は0.5Wになりますが、どの程度の距離・範囲と交信ができるのか興味深いところです。
また、そもそも普段は固定局でもDX以外は多くの場合10Wに絞って運用しており、10Wの大体の伝搬状態は経験上から想像がつきますので、10Wの半分の5Wではパワーがありすぎて実験的要素が少なく、いまいち面白みに欠けるのではないか、という個人的な理由です。
(むろん、5Wでも十分に楽しめるコンテストです)
リグはTS-680Vが活躍
さて、いかにして出力を0.5Wに落とすか?です。
当シャックにあるTS-590もFT-991Aも、設定できる最低送信出力は5Wです。よってこれらのリグを用いることはできませんが、ここで活躍したのが、我が愛すべきTS-680V(トップ画像)です!
このリグは、送信出力の調整がスライドボリュームになっていて、0~10Wで連続的に可変できるのです。なんというFBなリグでしょうか!
(取扱説明書にも記載がないので厳密にいうと最小の位置で0Wかどうかは分かりませんが、最小にするとパワー計の針が振れませんので限りなく0Wに近いと思います)
すばらしい!TS-680V。
TS-590もFT-991Aも色褪せて見える・・・。
送信出力は外付けのパワー計で測定
そして、実際の送信出力は本体のメーターでは解り難い・・・というか、細かなレベルでの読みができないので、外部のパワー計での測定に頼りました。
あまり高価なものは持っておらず、使ったのは年代物のダイワのSWR計を兼ねたクロスメーター式のパワー計です。そこそこの精度はあると思っています。
送信出力はTS-680Vのスライドボリュームで調整しますが、スライドボリュームの位置と出力の関係が微妙で、2次曲線的に変化しますので、低い送信出力側の調整はミリ単位でのボリュームの調整が必要です。微妙な調整でパワー計での読みで0.5Wに調整できました。
下の写真は送信時のメーターの振れです。左側の針がパワーを示しています。雨天の影響なのかSWRが2.0位になっていたので、マッチングも取りました。
(撮影時は調整不十分で0.6W付近を指していますが、運用前には0.5W以下に再調整しました^^;)
あくまでもこの0.5Wという送信出力はリグのすぐ後ろに接続したパワー計での測定値です。またチューナーでSWRの調整もしていますので、実際にアンテナから送信されている送信出力は0.5W以下になっていることが予想されます。
写真では解りませんが、下に見えるのが安定化電源です。
送信時に流れる電流もごく僅かで、超エコノミーな運用です。30A電源なので電流計のメーターの振れがほとんど判らないほどです。
CQ QRP TEST を打つと・・・
準備は完了!16:00の開始時刻を待ち、開始時間になったのでまずはバンド内をチェックすると1エリアの局が聴こえたのでコールするもコールバックなし・・・。
やはり0.5Wではダメかな?と思いつつも、イオノグラムを見るとくっきりとF層が出ていました。
そこで空き周波数を見つけて CQ QRP TEST を打ちました。2~3回打ってもコールはなく、RBNを見ても全く捕捉されない模様・・・。それでも諦めずに CQ QRP TEST を打ち続けると、何とお隣の9エリアのOMさんからコールがありました。
「えっ、9エリア?」というのが正直な感想、QRPでなくても交信できにくいエリアです。
そしてしかも!その局のナンバーは599●●Q(●●は都道府県番号)で、なんと0.5Wの局。お互い0.5Wでナンバー交換でき、それなりに電波は飛んでいることを実感しました\(^^)/。
0.5W同士で9エリアのOMさんと
交信でき、感無量です!
そして次々にコールが・・・
そしてその後、コンディションが更に向上し、日本全国津々浦々からコールがありました。CQの出し始めの時の状況は噓のようで、特に1エリアからはたくさんコールを頂きました。
多くの局がQRPながら確実に解読できる強い電波ばかりで、多くの局がコンテストナンバーは「P」(5W以下)でしたが、中には「Q」(0.5W)の局もありました。
同じエリアからコールでも、5Wの局よりも0.5Wの局の方が強い(もしくは同等)という状況もありました。そのタイミングでの電離層の反射の具合や運用地の違いの影響もあるかも知れませんが、基本的にはこれは先方のアンテナの性能の違いだと推測します。
アマチュア無線の場合はアンテナの制限がありません。これは以前からこのブログで強調していますが、結局はアンテナ次第、ということかと思います。
CWならではの場面も・・・
とはいえ、中には非常に弱い局もありました。
ノイズに埋もれそうで、ノイズリダクションなどの文明の利器が搭載されていないTS-680Vにあっては耳だけが頼りでしたが、ある意味1と0のデジタル信号のようなモールスだからこそ、解読できたと思われる場面もありました。
恐らく同じ状況でフォーンだと、呼ばれているということは判るけど解読不可能、というレベルの信号強度だと推測されます。CWの有利なところですね。
気が付くと One Day AJD を達成!
2時間ほどで51局と交信できました。コンテストナンバーによる相手局の出力は、P(5W以下)の局が55局、Q(0.5W以下)の局が6局という結果でした。
そして10のエリアすべてと交信(One Day AJD)できました。5エリアと8エリアはそれぞれ1局ずつ、特に9エリアに次いで交信しにくい5エリアとの交信は貴重でした。
また6エリアと8エリアへも0.5Wで届いたのは、この好コンディションと相手局のアンテナに助けられたものと思います。
恐るべし・・・
それにしても、恐るべしフルサイズのワイヤーダイポール、というのが率直な感想です。
コンディションが良かったとはいえ0.5Wでここまでのパフォーマンスには驚きました。
普段、移動運用ではモービルホイップに10Wという設備で運用していますが、フルサイズのワイヤーダポールに0.5Wという設備の方がよく飛ぶのではないか?と思ったりしています。
このあたりは改めての実験と考察が必要ですね。
病みつきになる・・・かも
今回、改めてQRPの楽しさというか、可能性を垣間見た気がします。
これからのシーズンはハイバンドもFBなコンディションになりますので、QRPでの運用も楽しいかも。ハイバンドならフルサイズのダイポールでもそれほど場所は取らないので、それほど難しいものでもないと思います。
モービルホイップでのお手軽運用もいいですが、ダイポールを張った本格的な移動運用で10W出力であれば、(コンディションにもよりますが)かなり広範囲にわたって交信できると思います。
ダイポールアンテナを張っての移動運用もしたいですね。
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